「真実はいつも1つ!」
とある有名な日本のアニメで主人公が言うセリフです。
娘:なんで私とお母さんを捨てて出て行ったの?
父:そうだな。すまない。お前たちを置いて出て行ったのは事実だ!
だが、お前たちのことを忘れたことは一度もない!ずっと会いたかった!
これは真実だ!
父と十年ぶりに再会。
ドラマでよくありそうなシチュエーションです。
はい。
「真実」と「事実」
なんだか似たような言葉です。
この二つは同じ意味なのか。それとも違うのか。
どんな使い方をするのか。
今回は「真実」と「事実」について紹介します!
真実
【名詞 ・形容動詞 】
うそいつわりのないこと。ほんとうのこと。また、そのさま。
※大辞林第三版より引用
●真実の恋。
●真実を語る。
事実
【名詞】
現実に起こり、または存在する事柄。本当のこと。
※大辞林第三版より引用
●歴史的事実。
●事実に反する。
『真実』と『事実』をもっと詳しく
辞典に載っている意味を見れば、どちらも
本当のこと
という意義があります。
では、同じ意味なのでしょうか。
ちょっと例文を見てみましょう。
【真実】
●真実を語る
●真実を述べる
●真実を打ち明ける
【事実】
●事実に反する
●事実に照らす
●事実を曲げる
私が辞典から見つけた例文です。何か気づいたことはありませんか?
真実の例文を見てみると「語る」「述べる」「打ち明ける」といった人の口を動かす動作が後文に続いています。
事実は現実に起こり、または存在する事柄のことを指し、真実は事実に対する嘘偽りのない人の解釈。
つまり、真実は人が関わりますが、事実は人が関わりません。
これを踏まえ、さらに言うと、
「真実」と「事実」
どちらも
本当のこと、嘘偽りのないことを意味しますが、
真実は人が関与しているので反論でき、事実は反論できません。
もっと詳しく説明します。
例えば、
ある飲食店があるとします。
店は9時にオープン。しかし今日出勤予定のアルバイトの山田さんがまだ出勤していません。
店長は山田さんに電話します。
「山田さん。今日シフト入っているよ!」
山田さんは答えます。
「あっ、忘れていました!すみません。」
山田さんが出勤予定なのに店に出勤していないこと
これは事実です。
事実に反論することはできません。
店長からの電話に山田さんは答えました。
「あっ、忘れていました!」
これは山田さんにとっての真実です。
ただ、店長は
「ほんとはサボりたかっただけじゃないの!?」
と
「シフトに入っていることを忘れていた」
という山田さんの真実に反論することができます。
真実は人の主観的な事柄なので、反論できるということです。
これも覚えてほしい!
みなさん、この言い回しを知っていますか?
歴史的事実
言葉の通り、過去に実際に存在した事実のことです。
鎌倉幕府は1185年に成立した。
大化の改新は645年におこった。
これは歴史的事実です。
しかし皆さん思いませんか。
以前、鎌倉幕府は1192年に成立したと考えられていました。
私も学生のころ、そう習いました。
しかし、今は1185年が鎌倉幕府が成立した年として教科書に載っています。
また、
中大兄王子と中臣鎌足がおこなった大化の改新。
私は645年におこった出来事として覚えていましたが、今の教科書は646年におこったものとして載ってあります。
えっ!?事実は1つじゃないの!?
これって人の解釈によって年号が変わったから真実じゃん!?
このように思う方もいると思います。
しかし、事実なのです。
広く知れ渡っていること、また広く知らせることは事実と捉えられています。
鎌倉幕府成立は1192年から1185年になった
大化の改新は645年から646年になった
どの年に起きたことなのか、100%正しいと言いきれないとしても事実として扱われるわけです。
つまり、
鎌倉幕府は1185年に成立した
大化の改新は646年におきた
これは歴史的事実です。歴史的真実ではありません。
日本語って難しい。。。
まとめ
事実
現実に起こり、または存在する事柄。反論できない。
真実
事実に対する嘘偽りのない人の解釈。反論できる。
最初に挙げた某アニメの主人公のセリフ
「真実はいつも1つ」
これは正しくありません。
正しくは
「事実はいつも1つ」
です。(笑)