となりのたしまさん。

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となりのたしまさん。

人は死んだらどうなるのか。源信の「往生要集」による死後の世界観。

人は死んだらどうなるのか。

 

冒頭から哲学的な問いです。

結論から言うと、

その答えは死んだ人にしか分かりません。

 

普段の生活の中で、

もし自分が死んだら、

家族はどうなるだろうか、

友人は悲しんでくれるだろうか、

そんなことは考えても、

 

自分自身はどうなるだろうか

についてはあまり考えないと思います。

 

ただ、人は死が間近に迫ったとき、

自分の死後

について考えるようになると言います。

 

今回は、

平安時代に活躍した天台宗の僧侶源信の著書『往生要集』を参考にして、

死後の世界観についてお伝えしていきます。

 

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『源信』の『往生要集』とは?

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『源信』Wikipediaより画像引用

 

往生要集とは極端に言えば、平安時代の『終活本です。

平安時代以前の仏教国家鎮護(国の平安を守る)ためのものであって、庶民にはあまり浸透していませんでした。

ですので、往生要集に描かれている「罪を犯した人間が鬼たちに責められる姿」「業火に焼かれる姿」は当時の庶民に衝撃を与え、

源信は「こんな地獄から人々を救うのは浄土教しかないよ!」と唱え、

それと同時に「極楽浄土の世界のすばらしさ」も説きました。

また源信のこの思想は、皇族や貴族にも影響を及ぼし、

浄土教の重要さを知った彼らによって、阿弥陀仏像がたくさん造られました。

 

人間の死後について

「人は死んだらどうなるのか」

冒頭に挙げた問いです。

 

源信は著書往生要集の中で、

死後の世界観について述べています。

 

今から具体的に見ていきましょう!

 

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初七日

人間は死を迎えると中陰の世界へ行きます。

中陰とは現世と来世の間にある世界のことで、

一般的に冥途と呼ばれています。

『中陰』よりも『冥途』という言葉のほうが馴染みがありますね。

 

死者はこの中陰に行き、死後7日目『初七日泰広王(不動明王)によって審理されます。

泰広王とは中陰において裁判官的な役割を担っている仏(尊格)の一人で、泰広王の他にもおり、合わせて十王と呼ばれています。

 

そして、

「えっ!何を審理されるの?」

ということですが、

まず、泰広王により五戒が守られたかどうかを審理されます。

 

五戒とは、

●不殺生戒
●不偸盗戒
●不邪婬戒
●不妄語戒
●不飲酒戒

五つのことで、

簡単に言うと上から、

●生き物を殺してないか

●他人のものを盗んでないか

●よこしまな男女関係はないか

●嘘をついてないか

●酒を飲んでないか

という意味です。

 

死んでいきなりこのようなことを尋問されるのはちょっと嫌ですが、

この裁判はまだまだ序盤。次の裁判へと続きます。

 

二七日

初七日の裁判を終えた死者は三途の川を渡ります。

『三途の川』はみなさん聞いたことあるのではないでしょうか。

三途の川は流れの速さが違う三つの瀬があり、

泰広王の審理のもと「だれがどこを通るか」決定されます。

①善人は橋を渡り、

②軽い罪を犯した人は浅瀬を、

③重い罪を犯した人は流れが早く、鬼や大蛇が待ち受ける深い瀬を

渡らなければなりません。

 

そして、この後

死後14日目二七日に二回目の審理を受けます。

担当するのは初江王(釈迦如来)で、十王の一人です。

ここでは、主に殺生について詳しく審理されます。

 

この後も厳格に裁判は続きます。

 

三七日

死後21日目三七日に三回目の審理を受けます。

担当するのは宋帝王(文殊菩薩)で、十王の一人です。

主に性に関すること(邪淫)について審理されます。

 

四七日

死後28日目四七日に四回目の審理を受けます。

担当するのは伍官王(普賢菩薩)で、十王の一人です。

主に生前の言動に関することについて審議されます。

特に嘘(妄語)などです。

 

五七日

死後35日目『五七日に五回目の審理を受けます。

担当するのは、みなさんご存知、閻魔王(地蔵菩薩)です。

閻魔大王閻魔様という呼称もあります。十王の中で最も有名な仏(尊格)です。

 

ここでは、何かを詳しく審理するというよりは、閻魔帳浄瑠璃の鏡を頼りに閻魔王からの指摘を受けます。

閻魔帳とは死者の生前の行為や罪悪を書きつけておく帳簿、

浄瑠璃の鏡とは死者の生前の行動を映し出す鏡です。

 

六七日

死後42日目『六七日に六回目の審理を受けます。

担当するのは、変成王(弥勒菩薩)です。十王の中では比較的寛容で死者の意見や願いを聞いてくれます。

閻魔王からの報告に基づき、裁きを下します。

 

七七日

死後49日目七七日に七回目の審理を受けます。

担当するのは、泰山王(薬師如来)です。

ここでは、死者の前に六つの鳥居が示され、それぞれ転生先(生まれ変わる場所)に通じています。

転生先は六つあり、

天道、人道、阿修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道六道です。

私たちはこの六道のなかを何回も生まれ変わりながら移動しているとされ、

これを六道輪廻と言います。

死者は六道に対応する六つの鳥居の前に立たされ、泰山王は死者に自ら進むべき道を選ばせます。

このとき、死者は自分の進むべき道がすでに分かっているといいます。

 

追善供養

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初七日、二七日、三七日、四七日、五七日、六七日、七七日。

と見てきました。

私たちも親族が亡くなった際、供養すると思いますが、その法要の実施日はこの七回の裁判に因んでいます。

特に、『初七日』『四十九日(七七日)』などは聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

現世で私たちが故人を供養していると同時に

中陰(冥途)で死者(故人)は裁判を受けているんですね。

なんか面白い。(笑)

 

ちなみに、私たちが故人に対して行う供養のことを追善供養と言い、

七日ごとに行う法要も追善供養です。

日々、仏壇に花や食べ物、飲み物などをお供えしたり、お寺にお参りしたりすることも追善供養になります。

実はこの追善供養とても重要で、

中陰にて裁判が行われているとき、裁判官の仏たちはこの家族や親族の追善供養を鑑みて死者の罪の重さを軽減します。

残された家族、遺族の故人への想いが強いほど、死者が生前に犯した罪を軽減することができるのです。

しっかりとお参りすることが大切ですね。

 

残りの『三王』

十王のうち七人を紹介しましたが、残りの三人の仏は再審担当です。

多くの死者は四九日間で判決が下りますが、決して罪を認めようとしない者、改心できない者もいます。このような場合、彼らを再び審理します。

いつ再審するのかと言うと、

百箇日(死後100日目)

一周忌(死後365日目)

三回忌(死後731日目)

です。

 

この三回の日にそれぞれ

平等王(観音菩薩)→百箇日

都市王(勢至菩薩)→一周忌

五道転輪王(阿弥陀如来)→三回忌

が担当します。

 

また、この再審日までの追善供養も判決に影響します。

 

最後に

今回は死後の世界観について紹介しました。

 

記事を書いていて、故人への想いを忘れないことの大切さを知りました。

私たちの供養が中陰世界で役に立っているかもしれません!

 また、自分を見つめなおすことも心掛けます。

表立った悪さは今までしたことがないですし、これからする予定ももちろんありません。

ただ、何も考えずに生きていると、どこかで人を傷つけている可能性もあります。

常日頃から自分を見つめなおす時間をとり、人に対して丁寧に接していきたいなと思います。

閻魔帳にすべて記入されますからね。(笑)

 

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以前にも仏教に関する記事を書きましたが、意外にたくさんのアクセス数をいただいているので、これからも仏教関連の記事を書いていきます!

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました!