「重い」と「重たい」
「田中くん。この荷物重いから運ぶの手伝ってよ。」
「田中くん。この荷物重たいから運ぶの手伝ってよ。」
普段の会話を思い返してみると、わたしたち日本人は、
「重い」よりも「重たい」をよく使っている気がします。
では、「重い」と「重たい」は何が違うのか。
「た」が入っただけで何か変わるのか。
早速、見ていきましょう。
【辞書の定義】
①重い
【形容詞】
①目方が多い。比重が大きい。また、そのように感じられる。
②疲れ・病気・悩みなどで、重苦しく感じられる。
③動作が軽快でない。動きが鈍い。
④安定感・重量感があって、攻略しにくい。
⑤重要だ。大切だ。
⑥軽々しく扱えない。深刻だ。ひどい。
⑦態度・人柄が軽率でない。慎重だ。
※大辞林第三版
②重たい
【形容詞】
①目方が多い。
②重い感じがする。
③心がはればれとしない。沈んでいる。
④なみなみでない。重大である。 「 - ・い罪」 〔「重い」とほぼ同義であるが、現在では意味・用法がややせまく、病状などには用いない〕
※大辞林第三版
どちらも「目方が多い」「重い感じがする」「重要である」など意味としては同じです。
では、何が違うのか。
NHKの放送文化研究所のサイトには「重い/重たい」と似たような使い方の「眠い」と「眠たい」について記載がありました。
『「眠い」と「眠たい」とは、どう違うのでしょうか。』
という問いに対し、
『しいて言うならば、「眠い」よりも「眠たい」の方ほうが実感がこもっている』
と回答しています。
「実感がこもっている」
言われてみればそうです。
「眠たい」のほうが「眠い」ことをとてもうっとうしいもの、いやなものとして実感している気がします。
・明日試験だから勉強しないといけないが、眠い。
・明日試験だから勉強しないといけないが、眠たい。(「眠い」ことの苦痛度高い)
「重い」「重たい」も同様に、
「田中くん。この荷物重いから運ぶの手伝ってよ。」
「田中くん。この荷物重たいから運ぶの手伝ってよ。」
「重たい」のほうが「重い」よりも
話し手の「重いと感じている」気持ちがより伝わってきます。
「重たい」はよく話し言葉で使われて、「つらい、しんどい、嫌だ」といった不快感を伴うことが多いです。
よく使う表現として「重たい」「眠たい」「煙たい」があります。
また、大辞林によれば、「重い」よりも「重たい」のほうが意味・用法がやや狭く症状などには用いないそうです。
(例:重たい病気?重い病気〇)
また、「実感がこもっている」という点に着目すると、
例えばとあるYoutuberのスピーチが心に響いたときには、「あの人の言葉は重い」ではなく「あの人の言葉は重たい」と言ったほうが、そのスピーチの感動・有難さがより伝わると思います。
逆に言えば、「実感をこめなくてもいいもの」には「重い」が使われます。
NHKの放送文化研究所のサイトにも載ってありますが、
・1円玉よりも10円玉のほうが、、、重い?重たい?
後に続く表現として、「重たい」よりも「重い」のほうが使いやすいです。
なぜなら、1円玉も10円玉も我々人間にとっては軽いものなので、「うっとうしいもの・いやなもの」と実感するほどのことはありません。
単に重いときは「重い」というのがいいでしょう。
まとめ
単に重いときは「重い」
重いことが辛い、嫌だと感じると「重たい」
「た」を入れたほうが実感がこもっている。
・この荷物は重い
・この荷物は重たい
ここでは「た」があるほうが辛い気持ちが感覚的には強くなる。
※こういった規則(ルール)があるというわけではありません。
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