となりのたしまさん。

日本人なのに日本語を勉強中。20代青年による日本紹介サイト。外国人に「日本のすばらしさ」を伝えるべく「日本」ついてはもちろん、海外の情報もたくさんアップしていきます。「少子高齢化」がすすんでいる日本。外国からの労働力がますます必要になってきています。外国の方々に「日本を好きになってもらえるように」。そんなことを意識して、ぼちぼち更新していきます。今年の目標も、「変わらないこと」。そのために「変わり続けること」。みなさん楽しみましょう、今回の人生。

となりのたしまさん。

「みんなの日本語」と比較してみよう!コミュニケーションを重視した教材「まるごと」について【日本語教育】

「う~ん。どんな教科書を使って教えようか」

教科書選びはとても悩みます。

 

日本語教育業界で定番の教科書と言えばみんなの日本語

国内外問わず多くの日本語学校で採用されており、ヒューマンアカデミーといった日本語教師養成講座でも使用されています。圧倒的シェア率ですね。

 

ただ、今回は「みんなの日本語」ではなく、コミュニケーションに重点を置いたある教科書について述べたいと思います。

その教科書とは、、

リアルなコミュニケーションを!「まるごと」

概要

まるごと 日本のことばと文化

●初版:2013年(「入門」出版)

●編著者:独立行政法人国際交流基金(ジャパンファウンデーション) 

●まるごとシリーズ:「入門」「初級1」「初級2」「初中級」「中級1」「中級2」とレベル別に分けられている

●海外版:韓国、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インド、ペルーといった国々で出版

●学習方法:「かつどう」と「りかい」の2つの教材があり、9トピックずつ学習

●学習時間:授業時間の目安は1課あたり120分(入門レベル)

 

JF日本語教育スタンダード

まるごと」はJF日本語教育スタンダードの6段階でレベルを表しています。

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JF日本語教育スタンダード「利用者のためのガイドブック」より画像引用。

 

●まるごとのレベル

「入門」→A1

「初級1」「初級2」→A2/B1

「初中級」→B1

「中級1」「中級2」→B1

 

・A1レベル

具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることもできる。自分や他人を紹介することができ、どこに住んでいるか、誰と知り合いか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりできる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助け船を出してくれるなら簡単なやり取りをすることができる。※JF日本語教育スタンダードより引用

・A2レベル

ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応じることができる。自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる。※JF日本語教育スタンダードより引用

 ・B1レベル

仕事、学校、娯楽で普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば主要点を理解できる。その言葉が話されている地域を旅行しているときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近で個人的にも関心のある話題について、単純な方法で結びつけられた、脈絡のあるテクストを作ることができる。経験、出来事、夢、希望、野心を説明し、意見や計画の理由、説明を短く述べることができる。※JF日本語教育スタンダードより引用

 

「かつどう」と「りかい」

「まるごと」は日本語を使ってコミュニケーションができるようになるために、

「かつどう」

「りかい」

の2つの学習方法があります。

・かつどう

日常場面でのコミュニケーションの実践力をつけることが目標。日本語をたくさん聞き、話す練習をする。

・りかい

コミュニケーションのために必要な日本語のしくみについて学ぶことが目標。コミュニケーションの中で日本語がどう使われるか、体系的に学ぶ。

 

「かつどう」と「りかい」はどちらも9トピックずつあり、同じトピックで書かれています。

「かつどう」の教材だけで、「りかい」の教材だけで学ぶこともできますが、両方で学ぶことにより、総合的な日本語力を身につけることができます。

 

それぞれの特徴をイラストにまとめてみました。

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簡単にまとめると、
まず、「かつどう」の教材で、聴解(インプット)→発話(アウトプット)の練習をします。

このとき、文法はさらりと教え、深入りしません。

次に、「りかい」で文法、語彙を体系的に学び(さらにインプット)、「読解」「作文」も加え、総合的に日本語を学びます。

「まるごと」と「みんなの日本語」を比較

日本語教育業界で圧倒的シェアを誇る教材「みんなの日本語」とどのような違いがあるのか見ていきましょう。

 

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まず、押さえておきたいのがシラバスの違い。

シラバスとは、教授項目を選び出して集めたもの。また、その選定をシラバス・デザインと言います。

みんなの日本語」は文型(構造)シラバスです。

文型(構造)シラバスとは学習者に必要な文型・文法・語彙の観点から整理されたものです。

まるごと」は場面シラバスです。JF(ジャパンファウンデーション)に則って言うとCanDoシラバスです。

場面シラバスとは学習者がコミュニケーション上、必要である場面での表現や語彙を集め、効率的に与えるものです。

 

みんなの日本語が文型シラバスでまるごとCanDoシラバス

この違いを意識してそれぞれの特徴の違いを見ていきます。

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まるごと第7課のトピックは「いえ」です。

登場する文法は「~あります/います」「~すんでいます」「<形容詞>いです/くないです」など様々です。

学習するCanDoも文法も語彙もすべて「いえ」に関するものばかりです。

 

対して、みんなの日本語第11課は「~あります/います」の文型を網羅的に習得しようという狙いが感じられます。

登場する語彙は、文型習得のために使えるもので、ジャンルは統一されていません。

 

教科書の作りも面白いです。

まるごとはカラー写真やイラストがたくさんあり、使われている文字はひらがなとカタカナが多く、漢字はほとんどありません(入門A1)。

「聞いて話しましょう」「聞きましょう」「話しましょう」など各パートに分かれており、学習者にそこで「何をさせるか」が明確です。

また、トピックの最後のページには「日本の生活と文化」に関する情報が載っています。

みんなの日本語は全体的に白黒で作られています。こちらも文型、例文、会話、練習といった各パートに分かれていますが、具体的に学習者に「何をさせるか」は示されていません。教師がイラストやフラッシュカードなどの補助教材を用意し、各課に応じた練習方法を考えます。そのぶん、「まるごと」に比べて「教え方の手引き」「問題集」「イラスト集」「会話DVD」といった授業作りをサポートする教材は豊富にあります。

 

まとめ

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私も「まるごと」を使って授業をする機会がありました。

まだまだ浅はかではありますが、実際やってみた感想として、

・みんなの日本語に比べて授業準備の負担が少ない

・学習者に発話させる時間が多い

・未習語彙、文法はまず「推測」させる

・ペアワーク、グループワークが多い

・先生はあくまでサポートする役割

・時間配分をより細かく意識する必要がある

※私自身の主観です

 

この他にもまだたくさんの「まるごと」の特徴、長所、短所があると思います。

「こういう特徴もありますよ」「こういう教え方がありますよ」

みなさんの意見もお待ちしています!情報共有しましょう。

今回もご覧いただきありがとうございました!

 

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