彼は部長が嫌いなようだ。
彼は部長が嫌いらしい。
『ようだ』と『らしい』
どちらも目や耳などの感覚器官から得た情報にしたがって、話し手自身が自分で想像したり、考えを加える『推量』表現です。
この他にも似ている表現がたくさんありますが、
今回は『推量』として使われる『ようだ』と『らしい』について紹介していきます。
ようだ
まさしくんにはこの問題は難しいようだ。
『ようだ』は目・耳・鼻・舌・皮膚など感覚器官から得た情報をもとにした『推量表現』としてよく使われます。
上の例文でいえば、まさしくんが問題に苦戦している姿を見て、「彼にとってこの問題を解くのは難しいんだな」と推量しています。
また、感覚器官の中でも『鼻(嗅覚)』『舌(味覚)』『皮膚(触覚)』で感じて推量するのは『ようだ』だけの特徴です。
●前田さんからいい匂いがしますね。
どうやら香水をつけているようです。(嗅覚)
●結構、煮たんだけど、ニンジン柔らかくなってる?
う~ん、まだちょっと硬いようだなぁ。(味覚)
●この子、ちょっと熱があるようです。(触覚)
らしい
どうやら彼は風邪をひいたらしい。
『らしい』は主に目や耳から得た情報をもとにした『推量表現』です。
●彼は志望大学に受かったらしい。満面の笑みを浮かべているから。
この場合は、『ようだ』とほぼ同じ意味合いになります。
●彼は志望大学に受かったようだ。満面の笑みを浮かべているから。
『ようだ』と『らしい』は同じ?
●彼は志望大学に受かったようだ。
満面の笑みを浮かべているから。
●彼は志望大学に受かったらしい。
満面の笑みを浮かべているから。
●田中くんは朝からテンションが低い。
どうやら昨晩の告白は成功しなかったようだね。
●田中くんは朝からテンションが低い。
どうやら昨晩の告白は成功しなかったらしいね。
どちらも話し手は『目』から得た情報をもとにして、想像し、判断しています。
ただ、『らしい』のほうが『ようだ』に比べて、話し手は客観的(距離を置いて)に相手に伝えています。
『距離を置いて』というのは、
「無関心に」「冷静に」「無責任に」「冷たく」
などの意味合いが含まれます。
上の例文を見てみると、
満面の笑みでこちらに向かってくる「彼」を見て、
「受かったらしい」と言ったほうが、
「彼が受かること」に関して
「興味がない」または「嬉しくない」気持ちがあると思われます。
次も同じで、
朝からテンションが低い「田中くん」を見て、
「成功しなかったらしい」と言ったほうが、
「田中くんの告白」に関して
「興味がない」気持ちがあると思われます。
また、『らしい』を目や耳で感じること以外で使う場合、
『推量』ではなく『伝聞』の意味になります。
●どうやら香水をつけているらしい。(嗅覚)
●あのレストランは味付けが濃いらしい。(味覚)
●この子、ちょっと熱があるらしい。(触覚)
『伝聞』についてはまた別の記事で紹介します!
冒頭に述べた例文も見てみましょう。
●彼は部長が嫌いなようだ。
●彼は部長が嫌いらしい。
どちらも話し手は『目』から得た情報をもとにして、想像し、判断しています。
ここでも同じように、『らしい』を使った文のほうがより客観的な表現になります。
~みたいだ
他にも推量を表す表現として『みたいだ』があります。
意味用法は『ようだ』と同じですが、『ようだ』よりカジュアルであり、家族や友達など親しい人と話すときに使われます。
逆に言うと、フォーマルな場(改まった場)や書き言葉としてはあまり使われません。
●村山は今日も休みみたい。(同僚に)
●村山は今日も休みのようです。(上司に)
まとめ
『日本語教師』を目指すならヒューマンアカデミーへ↓↓↓
こちらの記事もおすすめです↓