接続詞の使い分け第二弾です!
※前回の『接続詞の使い分け』が好評につき。
今回紹介するのは『逆接の接続詞』です。
逆接とは、 二つの文を、矛盾、対立する要素があるものとして結び付ける形式のこと。
例えば、
彼女は美人だ。しかし、性格が悪い。
この文では「しかし」が逆接の接続詞として使われています。
「しかし」の他にもたくさん「逆接の接続詞」があります。
似ているけれど、どのような使い分けができるのか?
今回もこれをテーマにお伝えしていきます!
『接続詞の使い分け』第一弾はこちら⤵
しかし
彼女は美人だ。しかし、性格が悪い。
『しかし』は「逆接の接続詞」の代表格で、よく使われます。
また、「逆接」だけでなく「対比」「転換」「補足」などにも用いられ、意味の幅がとても広いです。
基本的に、それまで述べたことを受けて、それと相反すること、または、一部違うことを述べるときに使われます。
●昨日はとても疲れました。しかし、一晩ぐっすり寝たら疲れが取れました。
『しかし』は書き言葉としてよく使われます。
また、やや堅い表現ですので、話し言葉で使う場合はフォーマルな場面(会社のプレゼン、目上の人と話すとき)に向いています。
だが
お茶は和食に合う。だが、洋食には合わない。
『だが』は『しかし』と同じく、それまで述べたことを受けて、それと相反することを述べるときに使われます。後文には事実を描写する文(叙述表現)が来ることが多いです。
●お茶は和食に合う。だが、洋食には合わないと思う。△
この文のままでも間違いとは言いきれないですが、『~と思う』といった判断表現が来る場合は、『しかし』のほうがふさわしいです。
●お茶は和食に合う。しかし、洋食には合わないと思う。〇
また、『だが』は普通体の文章に使われることが多いです。
●若いころはたくさん失敗した。だが、今思えば有意義な経験だった。
逆に言うと、丁寧体ではあまり使われません。
●若いころはたくさん失敗しました。だが、今思えば有意義な経験でした。✖
丁寧体では、
●若いころはたくさん失敗しました。しかし、今思えば有意義な経験でした。〇
『しかし』を使うのがふさわしいです。
※『だが』を少しやわらかい表現にした『ですが』もあります。
これも丁寧体ですので、
●若いころはたくさん失敗しました。ですが、今思えば有意義な経験でした。〇
のように使うことができます。
でも
一生懸命勉強しました。でも、試験に落ちました。
『でも』は『しかし』同じく、それまで述べたことを受けて、それと相反することを述べるときに使われます。
ただ、『しかし』より砕けた表現で、書き言葉ではなく、話し言葉としてよく使われます。ですので、論理的な逆接を表すというより、弁解や言い訳、感想といった情的な意味を示します。
●あの店のハンバーグは美味しいです。でも、高いですよ。(話し言葉)
●あの店のハンバーグは美味しいです。しかし、高いです。(書き言葉)
●あの店のハンバーグは美味しい。だが、高い。(書き言葉+普通体)
ただ、よく話し言葉で使われると言っても、上司や取引先の人など目上の人に使う場合は『でも』よりも『しかし』が適切です。
(社長に)
●この企画を成功させるのは確かに難しいです。でも、私はやります。△
●この企画を成功させるのは確かに難しいです。しかし、私はやります。〇
●昔は子供が多いことが一般的であった。でも、現代では子供が少なくなってきており、「少子化」が進んでいる。✖
●昔は子供が多いことが一般的であった。しかし/だが、現代では子供が少なくなってきており、「少子化」が進んでいる。〇
論文やレポートなど改まった文章を書く場合は『しかし』『だが』がふさわしいです。
ところが
彼女は全快したはずだった。ところが、また病気が再発した。
『ところが』は前文の事態・状態に対して、予想・期待に反する事態・状態が発生するとき(反予測)に使われます。話し手(書き手)の予想や期待に反している内容が後文に来ます。
●単身赴任中の夫に電話した。ところが、電話に出たのは若い女性だった。
前文は主語・主題に制限はないですが、後文は主語・主題が話し手(書き手)ではなく他者になります。
また、上記の例文の『ところが』は『しかし』に置き換えることができます。
●単身赴任中の夫に電話した。しかし、電話に出たのは若い女性だった。
ただ、『しかし』を用いた場合、転機の強調が弱まります。
話し手の驚きの気持ちを強調したいのであれば、『ところが』を使うのが適切です。
※『けれども』
●彼は頑固だ。けれども、話はわかる人間だ。
『けれども』は『しかし』よりも主観性の強い逆接表現であり、後文では、前文に対する話し手(書き手)の意見や感情が示されます。『でも』と同じく話し言葉でよく使われます。
『でも』よりは少し改まった表現ですが、客観性が求められる公用文や論説文、また、会社のプレゼンテーションなどにはふさわしくありません。
また、『けれども』の略語として『けれど』『けども』『けど』があります。同じく話し言葉として使われることが多い表現です。
まとめ
話し言葉的か?書き言葉的か?
後文に「判断表現」は来るか?
「普通体」なのか「丁寧体」なのか?
前後の文の流れをよく吟味した上でふさわしい「接続詞」を決めていく必要があります!
今回は『逆接の接続詞』について紹介しました!
少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです!
ありがとうございました!!!
今回のテーマである、逆接の接続詞の使い分けのほか、
その他の意味が似ている接続詞、副詞の違いについても、詳細に解説しています。
分かりやすい例文も載っています!
今回の記事も投稿するにあたり、この辞典を参考にしました。
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