田中さんはいつも遅刻する。
休みの日はたいていユーネクスト(U-NEXT)を見ている。
山田さんはよく忘れ物をする。
ときどき元カレからメールが来る。
肉料理が好きだが、たまに魚が食べたくなる。
私たちは
「どのくらいの頻度で~をするのか」
を伝えたいとき
上の例文にあるような副詞をよく使います。
日本語を勉強している外国人の中には、これらの副詞の使い分けに悪戦苦闘する人もいます。
私たち日本人は、日常生活で困ることなく自然と使い分けていますが、
いざ、意識してみると、
「適切に使えているだろうか」
「この副詞の頻度の割合はどのくらいなんだろう」
といった疑問も浮かんでくるのではないかと思います!
今回は
『いつも』『たいてい』『よく』
『ときどき』『たまに』
このような『頻度を表す副詞』について
紹介していきます!
いつも
●佐藤先生はいつも笑顔を絶やさない。
『いつも』は「話し手が対象を認識するときは必ず決まって」という意味です。
その頻度の割合を表すならば、100%です。
上の例文で言えば、
「佐藤先生が笑顔ではないときを見たことがない」と捉えることもできます。
●仕事が終わったら、いつもジムに行きます。
月曜日から金曜日まで仕事があるとして、「月曜日から金曜日まで毎日ジムに行く」という意味です。
『いつも』と『常に』の違い!
意味合いは同じですが、使い方がちょっと違います。
『いつも』は話し言葉としてよく使われ、
『常に』は書き言葉としてよく使われます。
また、
『いつも』は話し手の主観が入るので、客観的に事実・事態を説明する際にはあまりふさわしくありません。
●株価はいつも変動している。△
●株価は常に変動している。〇
公用文や論文など客観的な判断が必要なものは『常に』を使うのが適切です。
たいてい
●休日はたいてい家で過ごす。
『たいてい』は「何度も繰り返される行為や状態の多くの割合が一定の傾向になる」という意味です。つまり、習慣的なことを表します。
その頻度の割合を表すならば、80%です。もちろん、これは話し手の主観によって異なります。目安として見ていただけたらと。
●仕事が終わったら、たいていジムに行きます。
月曜日から金曜日まで仕事があるとして、「そのうちの4日くらいはジムに行く」というイメージです。頻度はかなり高めですね。
『たいてい』と『だいたい』の違い!
『たいてい』は多くの場合『だいたい』と置き換えることができますが、
基本的に『たいてい』は頻度、『だいたい』は程度を表すので、
以下の場合は置き換え不可能です。
●この学校の教師の数はたいてい50人です。✖
●この学校の教師の数はだいたい50人です。〇
数量を表す際は『だいたい』が使われます。
●みなさん、この作者の意図はたいてい分かりましたか?✖
●みなさん、この作者の意図はだいたい分かりましたか?〇
理解の程度について聞いているので、『だいたい』がふさわしいです。
反対に、
●休日はだいたい家で過ごす。△
●休日はたいてい家で過ごす。〇
『頻度』を表す場合は『たいてい』がふさわしいです。
上の例文で『だいたい』を△にしたのは、
今や私たち日本語母語話者もよく使うからです。『だいたい』の用法を『頻度』を表す副詞として、意味範囲を拡張して使っています。
ただ、本来は『たいてい』は頻度、『だいたい』は程度を表すものと覚えておきましょう!
よく
●彼はよく泣く。
『よく』は「頻繁に~する」という意味です。
その頻度の割合は、『たいてい』より少し下がり、60%です。これも話し手の主観によって異なります。
●仕事が終わったら、よくジムに行きます。
月曜日から金曜日まで仕事があるとして、「そのうちの3日くらいはジムに行く」というイメージです。
『よく』の類似表現!
『よく』と似ている表現として他にも、
『たびたび』『しばしば』などがあります。
この二つは『よく』に比べて書き言葉(文章語的用法)的です。
●この交差点はよく事故が起こるんだよ。
●たびたび(しばしば)事故の起こる交差点
また、
●たびたびの不始末をわびる。
●たびたびの不幸な出来事。
『~の~』と表す際は『よく』と『しばしば』は使えません。
ときどき
●ときどき大阪へ行く。
『ときどき』はあることが、いつもではないが、不定期の間隔で繰り返されるさまを表します。
その頻度の割合は、『よく』より少し下がり、50%です。これも話し手の主観によって異なります。
●仕事が終わったら、ときどきジムに行きます。
月曜日から金曜日まで仕事があるとして、「そのうちの2日くらいはジムに行く」というイメージです。
たまに
●このコピー機はもう古いから、たまに動かなくなる。
『たまに』はものごとがまれに起こる、頻度が非常に低いさまを表します。
その頻度の割合は、30%です。これも話し手の主観によって異なります。
●仕事が終わったら、たまにジムに行きます。
月曜日から金曜日まで仕事があるとして、「そのうちの1日くらいはジムに行く」というイメージです。
『たまに』よりも頻度が低い副詞
〇めったに~ない(頻度の割合:20%)
まれにしかしないさま、まれにしか起こらないさまを表します。
●田中くんはめったに姿を見せない幽霊部員である。
●めったにジムに行かない。
〇ほとんど~ない (頻度の割合:10%)
全くないに近いさまを表します。
●ホークスはほとんど負けない。
●ほとんどジムに行かない。
〇ぜんぜん~ない(頻度の割合:0%)
少しもないさまを表します。
●昨日からぜんぜん食欲がない。
●ぜんぜんジムに行かない。
まとめ
「副詞の使い分け」を分かりやすく説明しているおすすめの辞典
今回のテーマである、頻度を表す副詞の使い分けのほか、
意味が似ている副詞の違いについても、詳細に解説しています。
分かりやすい例文も載っています!
今回の記事も投稿するにあたり、この辞典を参考にしました。
日本語教育に携わる業界で働いている方、
日々使用している日本語に対して関心がある方におすすめの一冊です。
ぜひ、読んでみてください!
楽天市場での購入はこちら↓↓↓
『程度副詞』についてはこちら↓
確信・要望を表す副詞についてはこちら↓
こちらの記事もおすすめ↓