日本の総人口は1億2388万7千人おり、
うち、 生産年齢人口は7374万3千人で、
前年同月と比べて22万9千人減っています。
(令和6年8月1日時点)
働き手不足を解消するために、外国人人材に頼らざるを得ないのが
今の日本の現状です。
しかし、
外国人人材を受け入れる環境は適切と言えるのか。
以前にこんな記事を書きました。↓
技能実習生の失踪数について紹介した記事です。
受け入れ機関で技能実習生に対する不正行為が多々見られ、
劣悪な労働環境に耐えきれず、失踪する実習生がたくさんいます。
上記の記事は令和3年3月に書き、統計データは平成30年のものです。
今回改めて、
「失踪者数は減ったのか」
紹介してきます。

令和5年度の技能実習生の失踪数は?

令和5年の技能実習生の失踪者数は9,753人です。
令和5年の技能実習生総数は509,373人であり、
失踪率は1.9%となります。
令和4年の失踪者数が9,006人でしたので、
令和5年の失踪者数は747人増えています。
日本で働く技能実習生が右肩上がりで増えている現状は非常に喜ばしいことですが、
技能実習生50人に1人の割合で失踪している現状があり、
0人であるのがあたりまえの状況を作っていかなければなりません。
失踪率が一番高い技能実習生はどこの出身?
現在、日本は、
16か国から技能実習生の受け入れをしています。
・カンボジア
・インド
・フィリピン
・ラオス
・モンゴル
・バングラデシュ
・スリランカ
・ミャンマー
・ブータン
・ウズベキスタン
・パキスタン
・タイ
・インドネシア
・ネパール
・東ティモール
(2025年2月時点)
以上16か国のうち、
最も失踪者が多いのはベトナム人の技能実習生です。
令和5年のベトナム人技能実習生の失踪数は、
5,481人です。
失踪者数全体(9,753人)の56%(半数以上)がベトナム人技能実習生となります。
ただ、令和4年のベトナム人技能実習生の失踪数は6,016人でしたので、
令和5年のベトナム人技能実習生の失踪者数は535人減っています。
次いで、
ミャンマー人(1,765人)、
中国人(816人)、
カンボジア人(694人)、
インドネシア人(662人)
の順に失踪者数が多いです。
失踪率に着目すると、
令和5年のミャンマー人技能実習生の失踪率は5.4%で、
ベトナム(2.1%)よりも高く、
令和5年の国籍ごとの技能実習生数に対する失踪者数の割合はワースト1位となっています。
次いで、カンボジア人技能実習生の失踪率が4.0%で、二番目に高いです。
反対に、
失踪率が低いのが
フィリピン(0.2%)
タイ(0.3%)
インドネシア(0.8%)
の国籍の技能実習生です。
特に、インドネシアはベトナムに次いで技能実習生が多いですが、
失踪率は1%以下です。
(失踪はないに越したことはないので、誇れることではありませんが。。。)
なぜ、ミャンマー人技能実習生の失踪率が高い?
ミャンマーの失踪率の話に戻します。
ミャンマー人の失踪率が高い理由として、他の国とは違う特有の経緯があります。
その理由は「特定活動」を利用し、転職したいからです。
まず、特定活動とは、技能実習と同じく在留資格の一つであり、日本での一定の就労が許可されます。
日本政府は、2021年2月にミャンマーで起こった軍事クーデターによる情勢不安に対する緊急避難措置として、
ミャンマー人に「特定活動」の在留資格変更許可手続を受けつけ、日本での在留や就労を認めています。
技能実習は
・原則、転職できない、
・就労分野に制限がある
・実習先周辺にしか居住できない
といった法的な縛りがあります。
一方、特定活動は
・転職は自由
・就労分野にほぼ制限がない
・居住地に制限がない
となっています。
「せっかく日本にいるなら、特定活動のが良くね???」
ということで、
緊急避難措置を利用して、技能実習に比べて就労先の制限がほとんどない「特定活動」に変更希望のミャンマー人が増えたことが失踪率の増加につながったと言えます。
実際、所在を把握できた令和5年に失踪したミャンマー人技能実習生1,760人のうち 1,739人が在留資格を特定活動に切り替える手続きをしていたことが分かりました。
なぜ失踪するのか。技能実習生が失踪する理由

平成5年に技能実習制度が創設されてから、
低賃金労働
手当や賃金の未払い
長時間労働
時間外労働
といった
実習実施者(技能実習生が働く会社)の実習生に対する不正行為が多々見られ、
それに耐えきれず、失踪者も増えてきたため、
平成29年に「技能実習法」が施行されました。
技能実習法は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図ることを目的とした法律です。
ただ、効果が出ていると断言することは難しく、
先ほども述べましたが、令和5年の技能実習生の失踪者数は9,753人。
年々増えています。
根本的な原因はやはり
「原則として3年間転籍できない」
といった技能実習制度にあると言えます。
会社にめっちゃ嫌なやつがいても辞めることができないんです。
「原則があるということは、特例もあるからわざわざ失踪しなくても良いのに」
と思う方もいると思いますが、その通り。
技能実習生法に基づく技能実習制度の運用に必要な事項を定めた「技能実習制度運用要領」には
「やむをえない事情」がある場合には転籍が認められると規定されています。
ただ、
この「やむをえない事情」というのが非常に曖昧で、
技能実習生が会社で「バカ」「使えない」「国に帰れ」などの暴言を浴びせられ、
人権を侵害されたとしても、
「これはやむをえない事情になるのか」
定義が曖昧で転籍しにくいと指摘されてきました。
これを踏まえ、
令和6年11月1日、法務省 出入国在留管理庁は
「技能実習制度運用要領」の改正を行い、転籍を認める場合の要件を明確化しました。
私も要件を確認しましたが、改正前と比べてかなり具体的に明確化されていると思います。
こちらをご覧ください↓↓↓
技能実習生が失踪すると受けるペナルティ
技能実習生が実習先(働いている会社)から失踪すると、
失踪した技能実習生本人はもちろんですが、
その技能実習生の支援、監査を行う監理団体、
その技能実習生を受け入れた会社も
ペナルティ(罰則)が課せられます↓↓↓
【技能実習生】
・在留資格の取り消し
・不法残留罪の適用(3年以下の懲役・禁錮・300万円以下の罰金)
・強制送還(上陸拒否期間5~10年)
【監理団体】
・技能実習生の受け入れ停止(1~5年)
・優良認定の取り消し(実習生の受け入れ人数の拡大や技能実習3号の受け入れが認められなくなる)→管理団体のイメージの悪化
【会社】
・技能実習生の受け入れ停止(1~5年)
・優良認定の取り消し(実習生の受け入れ人数の拡大や技能実習3号の受け入れが認められなくなる)
・会社名の公表→会社のイメージの悪化
技能実習生を受け入れるために大切なこと

現在、私は日本語教育業界で働いており、
過去、技能実習生に日本語を指導したこともあり、
管理団体の方と一緒にお仕事をしたこともあります。
彼らと接した経験から、一概には言えませんが、
今後、技能実習生を受け入れるために大切なことについて私の見解を述べます。
【技能実習生を受け入れる会社】
・技能実習生を安価な労働力として見ない。
これに尽きると思います。
会社と技能実習生とのトラブルが起こる一因として、
低賃金労働
手当や賃金の未払い
といった会社側の不正行為が多発し、
結果、技能実習生の失踪につながった事例があります。
やはり、「安価な労働力」として技能実習生を見ているから、
このようなことをしてしまうのだと思います。
2027年から、育成就労制度が始まる予定です。
育成就労制度になると、規定にある要件に沿えば、技能実習生本人の意向による転籍も認められるようになるので、
技能実習生を「安価な労働力」としてしか見ていない会社は、
自然と人が離れていき、淘汰されていくと思います。
【監理団体】
・企業を入念に精選。
監理団体にとって、企業(会社)は大事なお客様です。
ただ、技能実習生を奴隷のように扱う悪質な会社は未だに世の中にあります。
大きな契約を取ることも監理団体を存続させていくために大切ですが、
技能実習生を大切にしてくれそうか。
実習の受け入れを決定する際、そこをしっかりと精査する必要があると思います。
また、それと同時に、
・送り出し機関も入念に精選。
私自身も技能実習生と接していて肌身で感じたことなのですが、
送り出し機関によって技能実習生の印象が変わります。
良い送り出し機関から送り出された実習生は本当に
日本語能力はもちろんのこと、規律性、道徳観、愛嬌なども良く、
良い人物だなと感じます。
「あそこの送り出し機関だから、こんなに性格が良いんだなー」
など何度も思ったことがあります。
ですので、管理団体の方は良い送り出し機関を精選するために、
実際現地に赴いて、送り出し機関を見学するのも一つの手だと思います。
【送り出し機関】
・高い日本語レベルと規律性がある人材を育てる
先ほども述べた通り、2027年から育成就労制度が始まります。
技能実習生が働くためには、JLPTN5の合格が必要要件となります。
N5レベルもしくはそれ以上に至ることができるように日本語教育を行う必要があります。
また、技能実習生が日本の会社で日本人と円滑な人間関係を作れるように、
規律性がある人材に育てることも大切だと思います。
日本人は他の国の人と比べて、真面目です。
いい意味でも悪い意味でも、細かいです。
「時間厳守」「期限厳守」「整理整頓」など日本で日本人と働く上で大切なことを教え、
技能実習生を規律性がある人材にすることが、
結果として、会社の人に好かれ、信頼される人材になります。
良い人材を輩出する送り出し機関として、送り出し機関の評価も高まります。
※今回の記事は法務省の『技能実習生の失踪者の状況』を参照しております。
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