基本練習では、教科書の各課で登場する新しい語彙や文型を使って、学習者が意味のある文を正しく作れるように練習します。
主に基本練習は2つやり方があります。
①パータンプラクティス(機械的練習)
②有意味の練習
最初に、パターンプラクティスをみていきましょう。
そもそも「パターンプラクティス」って何?
パターンプラクティスとは学習者が教師の指示にしたがって、語や文型を次々と声に出して言う練習方法です。
この練習方法の長所は文法を体系的に学習でき、初級授業で大切な「正確さ」の向上が期待できることです。
しかし、反復練習は単調になりがちで、意味の学習が不足するため、コミュニケーション能力が育ちにくいといった短所もあります。
後に紹介する「有意味の練習」など、他の練習とセットで行うのがおすすめです。
どんな練習がある?
①反復練習(模倣練習)
教師が言った言葉を同じように言う練習。
T:本を読みます。
S:本を読みます。
T:水を飲みます。
S:水を飲みます。
※TはTeacher。SはStudent。
②変形練習(変換練習)
教師が与えた言葉を決められた形に変えて言う練習。
T:読みます。
S:読みました。
T:飲みます。
S:飲みました。
③代入練習
文中の言葉を入れ替えて文を言う練習。
T:パンを食べます。肉。
S:肉を食べます。
T:魚。
S:魚を食べます。
④拡張練習(拡大練習)
教師が言葉を与え、その言葉を使い徐々に文を長くしていく練習。
T:行きます。
S:行きます。
T:京都。
S:京都へ行きます
T:友達。
S:友達と京都へ行きます。
⑤結合練習
教師が複数の文を言い、それを一文にまとめる練習。
T:本を読みます。眼鏡をかけます。
S:本を読むとき、眼鏡をかけます。
T:ごはんを食べます。はしを使います。
S:ごはんを食べるとき、はしを使います。
⑥完成練習
教師が文を途中まで言い、その文を完全な文にする練習。
T:きのうたくさんお酒を飲みましたから、
S:きのうたくさんお酒を飲みましたから、今日はお酒を飲みたくないです。
⑦応答練習
質問に答える練習。
T:毎日、新聞を読みますか?
S:はい、読みます。
T:日曜日は何をしましたか?
S:家でテレビを見ました。
他にもさまざまなやり方があると思いますが、今回は7つのやり方を紹介しました。
文型によっては使えない練習がありますので、
「て形」を教えるときは「変形練習」
「~してから、~(例:シャワーを浴びてからごはんを食べます)」を教えるときは「完成練習」をする
などと、文型に合わせて自分好みのスタイルを見つけていってください。
有意味の練習
①パターンプラクティスが言語形式面だけに焦点を当てていたのに対し、②有意味の練習は言語の意味にも着目します。
学習者が言いたいことを自分で表現してみる練習が必要です。
今回は、新しく習った文型を実際に使える/使えそうな状況を設定して練習を行う「シチュエーションドリル(場面練習)を紹介します。
下のイラストを見てください。
みんなの日本語初級14課の練習Cから引用しました。
ここでは、「~てください」の文型がテーマです。
A:すみません。
B: はい。
A:ちょっと、ボールペンを貸してください。
B:はい、どうぞ。
実際に記載してある会話文です。
まず、教師と生徒でイラストの場面・人の役割を確認します。
この時に教師がすぐに答えを言わずに、
(上のイラストであれば)
「Aさんは何をしたいですか?」
「Bさんにボールペンを借りたいです。」
「Aさんは話します。ボールペンを?」
「ボールペンを貸してください」
などと、生徒に考えさせながら質問するといいです。
その後、生徒が役になりきって練習を行います。
ボールペンの部分をのりやはさみなどの他の文房具に変えたり、
イラスト(シチュエーション)を変えて、
「窓を開けて」「ドアを閉めて」など実際に使えそうな状況を作り練習します。
また、最初に提示する会話文も場面・状況に応じてアレンジしていきます。
ペアでそれぞれ練習を行い、発表させて、フィードバックという流れがいいです。
現実にありそうなシチュエーションに合わせて生徒が実際にやってみるということが有意味の練習です。
まとめ
初級クラスの授業で行う基本練習
1.パターンプラクティス
①反復練習(模倣練習)
②変形練習(変換練習)
③代入練習
④拡張練習(拡大練習)
⑤結合練習
⑥完成練習
⑦応答練習
2.有意味の練習
シチュエーションドリル
他にも面白い練習方法があれば紹介していきます。